この世界に色をつけるなら、何色にしてみようか? -世界に色をつけるなら- 最初、この世界は真っ白だった。 別に、何も無い訳じゃなかったが、自分の目には何も映っていなかった。 まぁ、右目は何かで塞がれていたけど。 「……………」 言葉も出ない。 出る訳がない。 言いたい言葉が無いのだから。 そんな日々をどれだけ繰り返した? 真っ白で、何も無い世界の中で。 ある時、ふと目の前に“何か”が現れた。 自分はその“何か”に手を伸してみた。 と、間違えてそれに爪を立ててしまった。 すると、そこから色のついた液体が流れ落ちた。 初めて見る色。 その色は、白よりも遥かに綺麗だった。 もっとその色が見たくて、更に爪を立てた。 そうしたら、綺麗な色の液体を流す“何か”が逃げ出した。 だから自分はそれを追いかけ、とても深く爪を立てた。 爪を立てた場所から、綺麗な色の液体が流れ落ちる。 夢中になって、何度も何度も爪を立てた。 いつの間にか、その“何か”は動かなくなってしまったが、まぁいいか。 気が付けば、自分の手にも身体にも、綺麗に色が付いていた。 それを、うっとりとしながら眺めて、 「……綺麗だ」 久し振りに言葉を出した。 何も無かった真っ白な世界。 もし、この世界に色をつけるなら……………… 最初に見た“何か”に流れる液体の色が良い。